
近年、顧客からの不当な要求や暴言、威圧的な行動などによる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題化しています。
従業員の心身に深刻な影響を及ぼすカスハラに対し、企業はどのように対応すべきかが問われています。
この記事では、カスハラの義務化の動向と、企業が取るべき具体的な対策について解説します。?
カスハラ対策、企業で義務化を求める動き
2025年4月、東京都で「カスタマーハラスメント防止条例」が施行されました。
この条例は全国で初の試みで、顧客等からの著しい迷惑行為を禁止し、事業者に対して防止措置の実施を求めた内容となっています。
カスハラの定義や防止措置の基本理念、事業者の責務などが明記されています。
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また、厚生労働省は2025年度中に、企業にカスハラ防止措置を義務付ける「労働施策総合推進法」の改正案を国会に提出する予定です。?
この改正案が通ると企業に対して法的にカスハラ対策が義務づけられることになります。
企業が取るべきカスハラ対策 5項目
カスハラ対策が義務化されると具体的に企業はどのような対策を取る必要があるのでしょうか。
それは以下の5つの対策となります。
1. 基本方針の策定と周知
企業は、カスハラに対する基本方針を明確にし、全従業員に周知する必要があります。
「カスタマーハラスメントに対する方針」のようなものを策定して、従業員が安心して働ける環境を守ることを明言しています。 ?
2. 対応マニュアルの整備
カスハラが発生した際に誰もが適切な対応が取れるように対応方法を示すマニュアルを作成し、従業員に共有することが求められます。?
マニュアルには、カスハラへの理解と対応が統一されるように、カスハラの定義、対応手順、相談窓口の情報などを含めると効果的です。 ?
3. 相談体制の構築
従業員がカスハラ被害を受けた際に、安心して相談できる体制が必要となります。
?相談窓口の設置して、その存在を周知することで従業員の心理的な負担を軽減できます。 ?
企業にはパワハラの相談窓口の設置も義務化されていますが、企業にはハラスメントリテラシーを持った人材の育成が求められます。
4. 教育・研修の実施
従業員がカスハラに適切に対応できるよう、定期的な教育や研修を行う必要があります。?
これには、ハラスメントリテラシーの把握、対応スキルの向上、ストレスマネジメント、アンガーマネジメントなどが含まれます。 ?
5. 顧客への啓発
顧客に対してもカスハラが許されない行為であることを周知することが求められます。?
店舗やウェブサイトでの掲示、利用規約への明記などを通じて、顧客の理解を促進できます。 ?
カスハラ対策を強固にするハラスメントリテラシーの共有
企業がカスハラ対策を進めていく上で力を入れてほしいのはハラスメントリテラシーの共有です。
リテラシーとは「ある分野に関する知識やそれを活用する能力」ですが、社内で同じリテラシーを持つことが【認知の共有】に当たります。
認知の共有とは、組織が一体となって動くために必要と言われているものですので、カスハラ対策を機能させるためには、まずは経営者、管理職、ハラスメントの相談窓口の担当者などはハラスメントリテラシーを共有しておくことが望ましいと言えるでしょう。
ハラスメントリテラシーを共有する社員研修
社内でハラスメントリテラシーを共有するための方法として一般的なものは社員研修です。
実際にカスハラはもちろん、パワハラやセクハラの研修を実施している企業はたくさんあるでしょう。
社員研修というと、社員が同じ場所に集まったり、オンラインを使い、同じ時間に同じ内容の研修を受けるものが考えられますが、今回紹介する研修はeラーニングで受講することができるので、受講者が自分の仕事のスケジュールを調整して自分のペースで研修を受けることができるというものです。
これは、「雇用クリーンプランナー公式認定講座」といって、受講をして最終の試験に合格すれば雇用クリーンプランナーという資格を取得できるという内容です。
この講座は、ハラスメント全般の知識、労働トラブルの知識を学ぶことができるので、ハラスメントリテラシーはもちろん人事労務の知識も身につけることができます。
ただ研修を受けるだけでなく、資格を取得することによって自分はハラスメントに対する知見があるという自覚が芽生えるので、受講者は学んだことを仕事に活かそうという意識も高まります。
企業にとっては従業員を守るためにも必要なカスハラ対策。
ハラスメントリテラシーの共有も進む講座なので、カスハラに取り組もうという企業にすすめの講座です。

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