男性のためのメンタルヘルス対策

日本における自殺者数は、21,881人。そのうち男性の割合は女性の2倍にも及び、今や社会問題の一つとして掲げられています。
深刻化するメンタルヘルスの課題を、どのように解決していけば良いのか。本記事では、男性に焦点を当て、男性のメンタルヘルスをサポートする方法についてお伝えします。

メンタルヘルスとは

厚生労働省は、「心の健康」と提言しています。心が軽い、穏やかな気持ち、やる気が沸いてくるといったようなポジティブな感情を抱くことができる状態のことを指します。
近年では、体の健康、心の健康、社会的に満たされた状態を指す「ウェルビーイング」も社会的なテーマとして取り上げられています。
ウェルビーイングを経営に取り入れたいと考えている方は、以下の記事をご覧ください。
https://axia.double-stg.com/well-being

男性のメンタルヘルスを脅かすストレス要素

男性の主なストレス原因

社会的ストレス

伝統的な「男はこう振る舞うべき」という古い固定概念が、男性の行動・発言・振る舞いに制限をかけます。
こうした概念により「Toxic masculinity(トクシック・マスキュリニティ)」有害な男らしさ(男性性)が生まれ、「感情を抑えつらいと言わない」「表面的なたくましさ」「力をはかるための暴力性」を引き起こします。
この項目に該当する人ほど、自殺率が高い結果も出ています。職場や学校、家庭、地域などの慣習の中や、男性としての特権をもつことにより、有害な男らしさを身につけるという構造を生んでいます。

金銭的ストレス

男性は、主な稼ぎ手として家族の中で経済的安定を担う役割としての存在を期待されます。
男女ともに職の不安定な労働者は、ほぼ 3倍増の相対危険でメンタルヘルス不調のリスク増加があること、職の不安定性が低収入とメ ンタルヘルス不調の関連を相当程度説明することが観察されています。
金銭的なストレスにより、不安、うつ、その他の精神衛生上の問題を引き起こす可能性があるのです。さらに男性は、こうした責任を黙って背負うことを社会から期待されており、これが苦痛を悪化させてしまいます。

感情的ストレス

一般的に、女性は感情を言葉で表現することが多く、男性は非言語的な方法(行動や表情)で感情を表現することが多いと言われています。
また、テストステロンなどのホルモンが感情の抑制に寄与する可能性があることも明らかです。
「男性は泣かない」「男性は強い」というステレオタイプが根強く存在し、感情を表現することが「弱さ」として見なされる場合があります。
その結果、男性は女性よりも感情を自分の中に留めてしまい、自分がストレスを感じていることを自覚せぬまま過ごす方も多いです。

ストレスコントロールができていないことで生じる心の問題

上記で男性が抱えやすい3つのストレスについて説明しましたが、ストレスは下記のような健康や行動の問題を引き起こすことがあります。

うつ病、適応障害、自殺につながる恐れ

仕事をする中でストレスを受けることは避けられませんが、適切にコントロールをしてストレスによる心身の疲労が限度を超えないようにすることは大切です。
ストレスは、感情だけでなく神経にも作用して、その結果として抑うつ気分、不安感、焦燥感などが高ることやストレス原因となる環境に行くことへの拒否感が生じるようになることがあります。
それによってうつ病や適応障害になり、思うように仕事ができない、職場に行くことができなくなってしまう人もいるのです。

さらにストレスによって精神状態の悪化が進んだ先には自殺という問題も生じることがあります。
労働安全衛生総合研究所過労死等調査研究センターの調べでは、仕事が原因の自殺に関しては9割が男性だという結果が出ています。

性的逸脱行為の増加と性犯罪を起こすリスク

人間の3大欲求の一つである性欲に関して、メンタルヘルスと関係が高いことが心理学の観点からも明らかとなっています。
一般的に性的欲求は、子供を作るためにあり、異性の見た目、声、コミュニケーションなどが刺激となり欲求を高めていきます。その欲求には、男女で差があります。

女性は、ストレスを受けると性欲が低下する傾向にあります。
理由としては、妊娠、出産、子育てという女性の本能的な構造が影響を与えており、「安心と安全が保障された状態」が保たれていない限り、子供を作る気にはならず、性欲が高まらないのです。
一方男性の場合は、ストレスを受けると性欲が上昇する傾向にあります。
男性の場合、自分の身に危険がおよび、命を落とす可能性があるとわかった時、生存本能を発揮し、自分の子孫を残すことを優先的に選びます。
そのため、男性はストレスによって性欲の上昇と理性を司る前頭葉の機能低下が起きると浮気、セクハラなどの性犯罪性的逸脱行為を行う可能性が増え、性犯罪を犯すリスクにもつながります。

ストレスが高い時に性的な興奮を体験する方法でストレスを解消してしまうと、脳の自己報酬神経群が刺激されてドーパミンを中心とした神経回路が強化されてしまいます。
その結果、同じような行動をしたい衝動が出やすくなり性的逸脱行為を繰り返してしまうようになるのです。
例えば、電車で痴漢をしてしまう人は、電車の中で性的に興奮することを覚え、電車に乗ると痴漢したいという感情を乗るたびに引き起こします。

ストレスが蓄積されると誰もが性犯罪をしてしまうわけではありませんが、ストレスが蓄積された状態が続くと性欲の上昇と理性の低下は少なからず起きてしまうので性犯罪はしなくても、何らかの性的逸脱行為を行う可能性は増えます。
その行為が継続され依存症に至ってしまうと生活にさまざまな問題が生じるので、ストレスコントロールの術を身につけておくことは大切なのです。

男性はどのようにして自分の心を守る?

自他を害する男らしさを本来は和らげることが必要ですが、現実的に自分だけで解決することはとても難しいです。
だからこそ、カウンセリングが受けやすい、何かあった時に相談できる環境を整えることが大切だと考えます。
また、企業自体がメンタルヘルスについて深く考え、その重要性を浸透させることで、問題を未然に防ぐことにつながるでしょう。
男性自身も自分の心の健康を守る術として、定期的にストレスチェックを行う、ストレス解消できるアイテムや習慣を身につける、必要に応じて人や相談窓口に頼ることをお勧めします。

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また、企業の心理的安全性が高く、従業員が成長しやすい職場づくり、職場で生じるトラブルの予防、対処ができる人材育成をしたいという要望にもマッチしている資格です。
男性のメンタルヘルスを企業が守ることに本気になれば、そこで働く人の幸せ、その家族の幸せ、社会全体の幸福感につながります。

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